【楽曲解説】03_夢ヲ買イマス

実はわたしがかつて絵で創作をしていた頃の持ちネタ、夢買イの骨董屋。怪し~い感じで唄おうと思っていたら、弘田さんに「むちゃくちゃウィスパーで、ものすごく少女っぽく唄って!」とディレクションされて吃驚。でも唄ってみたらさらに吃驚するほど嵌っていて、弘田さんの慧眼に感じ入ったものでした。作中では夢買イの店にいる、西洋人形と見紛うような少女の、その雰囲気を託しています。人間なのか人形なのかはたまた幻影、幽霊なのか。寝起きもかくや、血圧下50を切っていそうなみとせの低血圧ヴォーカルをご堪能下さい。(みとせ)

アルバム中でもひと際、ヨルガらしい曲かもしれませんね。みとせさんのイメージメモを拝読した瞬間、私の好きな幻想小説作家「夢野久作」の作品イメージと重なって、サウンドのアイデアも自然と浮かんできました。デモの時はキーが全音低くて、歌い方も大人っぽい方向でしたが、レコーディング当日に少女を連想させるウイスパーボイスに変えてもらいました。現場で伝えてすぐに対応できる、みとせさんの七色の演技力にも敬服。その少女とピッタリ寄り添って重なる低音ボイス(夢買イの主人の声ですね)は、BOSSのオクターバーとerectro-harmonixのVOICE BOXを使用。VOICE BOXのGENDER BENDER機能で、みとせさんの美声が男に変わっています。(弘田)

【楽曲解説】02_珠ノ舟

最後から2曲目に上がってきた曲で、弘田さんの習性なのか所謂POPS展開の曲(A-B-C-2A-2B-2C-間奏-B-Cみたいなやつ)がそれまでなかったというのに、この曲でまさかのPOPS展開!こういう雰囲気の曲は短い歌詞で語らせることが多いのに、どこまでも天邪鬼なお方です。どうしたものかと思いながらもらった曲を聴いていたら、突然「数え歌にせよ」という神のお声が。その神託のままに歌詞はするすると紡ぎ上げられ、気づけばこんな業深い詞になっていました。水に流るる燈籠の夜の水面にきらめく様を、泉鏡花の描くような美しくも儚く、そして残酷な光景を思い浮かべつつ聴いて頂きたいです。(みとせ)

わずか2時間ほどで出来上がった曲。作曲家としては時間をかけて練り上げた作品の方が良いものと思いたいものですが、えてしてあっという間に出来た曲の方が、評判が良かったりします。ギターは最初からガット弦のイメージを持っていました。ガットギターやバイオリンなどの収録が終わった後に、エンディングの盛り上がりを編曲したので、レコーディング参加者は「こんな終わり方だったのか」と驚いているかもしれません。心の中に溜まっていた感情が解放され、気持ちが浄化されるようなカタルシスのある終わり方にしたいと思っていました。聴き終えた時に、幻想的な短編小説をひとつ読み終えたような感覚になってもらえますように。(弘田)

【楽曲解説】01_セカイは僕の睛の中の映画

帝都を毎日自分の足で駆け巡っている「ポストマンの少年」の視点で書いた詞です。弘田さんの楽曲が帝都の街や風景そのものを描いていたので、わたしはその上を駆け抜ける、風景を語るのに相応しい人物を描きました。唄声にもいつものみとせの声よりやや太めでソリッドな響きを持たせ、勝手につけちゃったコーラスには逆にキラキラした風や光の色を持たせています。硬質な革の靴底が石畳を叩く音、少年の木綿のシャツや髪をすり抜けていく瑞々しい風、そしてその睛に映る帝都の風景のきらめきと躍動を、この曲に感じて下さい。(みとせ)

都会の持つエネルギーと躍動感、雑多さ、多様性、華やかさと寂寥感。ヨルガのいわゆるワールドマップとなる「帝都」そのものを俯瞰して描いた楽曲です。ドラムは、よく一緒にセッションしているドラマーのフレーズをスタジオでサンプリングしたものと、TOONTRACKのSUPERIOR DRUMMER2.0とのハイブリッドです。パーカッションは、躍動的なアフリカのリズムパターンをインダストリアルなメタルパーカッションに置き換えて収録。壷井さんのフィドルとワタさんのギター、マンドリンも楽曲の大事なエレメンツになっています。この曲では私はフレットレスベースやピアノを弾いています。(弘田)

帝都を散策(ある)く

皆様コンバンハ、みとせです。

試聴も出揃ったところで、続いて世界観設定の公開が始まりましたが、まだ「世界」の見出しの中の半分も開いていないので、帝都をリアルに感じられる状態には程遠いですよね。少しずつですがまめに更新していきますので、今日はこの町を散歩、今日はこっちを散策、みたいな気分でゆるりと待っていて頂ければ幸いです。

帝都の中は大きく分けて東西南北と中央と呼ばれていますが、とはいえこれは住人たちが言う通称的なもので、帝都制定の区画名は第一區~第九區となっています。…はい、「世界」ページに今出てる見出し、全然足りてませんよね。

実は今表示されているのは今回のアルバムの曲に関わっている地域辺りのみで、残りはまだ載せていないだけなんです。なにせメニューにない地域も勿論ちゃんと存在しているので、見出しだけでも全部並べたらえらいことになってしまいます。だって、今あるメニューの下にもさらに細かい説明があるんですよ?いきなりずらーっと並べられてもかえって訳がわからなくなることうけあい。

というわけで、徐々に少しずつ、街の様子をお伝えしていくことにしました。まずは今ある見出しの街を順番に、と思っていますが、見出しもさらに下層に増えていくかもしれませんし、いつの間にか横にも増えているかもしれません。現在の東京より若干狭い面積とはいえ、棲むにはじゅうぶんな広さと地域ごとの個性を持った「帝都」、解説が進むにつれて行ってみたい場所や暮らしてみたい地区、そして会いたい人物が現れたりしますようにと、そんな風に願いつつ、唄を唄い街を世界をつくりました。

どうぞアルバム発売までは、これから訪れる予定の街のガイドマップの頁を繰る気分でサイトを眺めてやって下さいませ。

帝都に降り立つ

弘田です。

これまでの試聴はもう聴いて頂けましたか?また明日からも残り曲の更新がされる予定ですのでお楽しみにー。

曲を聴く時、自由な想像で楽しんでもらうのが一番ですが、自分自身が作曲した時はこんなのをイメージしてました。というのを書いてみますね。

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鉱石”ヨルガ(睡晶)”をエネルギー源とした発電技術により、大いなる発展を遂げようとする大都市「帝都」

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1曲目の「セカイは僕の睛の中の映画」では、その「帝都」に息づく、街の躍動感をサウンドに表現しようと思いました。

雑多な人種やモノ達の圧倒的な熱量と、大都市という一種の巨大システムが持つ冷たさや威厳。それらを楽器の一つ一つが表しています。アレンジアイデアの一つを上げると、、一貫して入っている無機的な金属音が奏でるのは、アフリカンパーカッションの伝統的なリズムだったり。

このアルバムの最初の曲を聴いた時、舞台である「帝都」に降り立ったような、そんな気持になってもらえたら嬉しいな、と思いながら作曲してみました。

鬼聴き中。

マスタリングが近いので、弘田さんから上がってきたミックス音源を鬼聴きしてはここはこうした方が、いやこうした方がと逡巡するみとせです。ちなみに「鬼聴き」というのは、みとせのソロアルバム「ヨルオトヒョウホン」のディレクター伊藤毅さんが使っていた言葉で、全神経を耳に集中して何度も何度も聴きまくることを指します。いいヘッドフォン、いいスピーカーからPC付属のモニタースピーカー、ポータブルのミニシステムやらi-podにデフォルトで着いてくるようなちっちゃーいイヤホンなどなど、いろんな環境いろんな音量で聴いて聴いて聴きまくる!そうやって、皆様にお届けする音を最終的に決めるために耳と脳とを酷使して音を磨き上げるのでございます。

伊藤さん、通称伊藤D、「鬼聴き」の他にも様々な語句を広めてゆかれました。ヨルオトに参加してたミュージシャンは何故かみんな伊藤D語録に伝染してて、弘田さんもその例外ではなく。というわけできっと今頃弘田さんも「鬼聴き」してはミックス調整して、ふとんに入ったけどやっぱり気になって起き上がってまたミックス…みたいなことになっていると思います(笑)。

頑張れ弘田、負けるな弘田、眠るな弘田!(笑) …いや、健康と正しい耳と判断力維持のために眠って下さい。

収録全工程終了!

先日ヨルガの収録の全工程が完了しました!

ばんざーい!

と、言うべきところなんですが、正直に言うと終っちゃうのが勿体無くて淋しかったです(笑)。

でも終らないと皆様にお聴かせできませんしね…ジレンマです。

ここから先はまるっと弘田さんの領域、ミックスやさらなるアレンジを進めていただいています。

アマゾンやらに掲載されているトラックリストは実は開発コードというか通称でして、実際のタイトルはこんな感じになっています。

01 セカイは僕の睛の中の映画
02 珠ノ舟
03 夢ヲ買イマス
04 異界の底に棲むモノは
05 Circulation(inst.)
06 桜散ル夜~ハナチルヤ~
07 蘇州夜曲
08 眠り病
09 天上への祈り
10 狐-キツネツキ-月
11 U.M.T.(inst.)
12 ヨルガ<睡晶>

まだまだ仕上げまでいろいろな工程が残っていてバタバタしていますが、近々には試聴曲も公開できるのではないかと!

皆様どうぞ楽しみに待っていて下さいませ。

キツネ

コンバンハ。弘田です。

作曲、アレンジ、レコーディング、ミックスと、連日連夜、充実したヨルガ制作の日々でしたが、いよいよ後半戦というか、仕上げの時期に突入してきました。

残す収録もあとわずか。気合い入れて行きましょう。

ところで、ヨルガに限らずですが、作曲に何日もかかる曲があるかと思えば、ほんの数時間で出来上がってしまう曲もあります。

私からすると、やはり手間暇かけた曲の方が、愛着があるのですが、えてして、サクッと出来た曲の方が人気があったりします。

ヨルガでは、仮で「キツネ」と 呼んでいる曲がありまして、これが二時間ほどで、ほとんど出来上がってしまいました。

「巫女」と呼んでいた曲も同じように、あっという間に出来上がりました。

これら二曲は、みとせさんの詞が完成するのも早かったようです。

「キツネ」や「巫女」などという曲だから、何か人ならざる力が作用したのでしょうか。不思議ー。

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プリプロ

皆様コンバンハ、みとせです。

ええと、実はたいへん申し訳ないことに、「ヨルガ」の発売が延期になりました。

…っていうネタをエイプリルフールでやろうかと思ったんですが、ネタとしても笑えないのでやめました(笑)。

昨日はヨルガの収録+プリプロでした。2曲収録して、2曲プリプロというものすごい分量のメニューだったんですが、収録もプリプロも驚くほど快調に進んでアルコホルを3杯も飲める時間が残りました(また飲んでるのかー!というツッコミはなしでお願いします・笑)。

昨日の収録曲のうちの1曲は「#花魁」、まんまそのまま花街の花魁をテーマにした曲です。かなり意外なアプローチの楽曲を弘田さんから頂いたので、皆様がアルバムを聴いて下さって驚くお顔を想像しながらにまにましております。

ちなみに表題にもなっている「プリプロ」、あまり聴き慣れない言葉かと思うのですが、「プリプロダクション」の略で、本収録をする前に仮で唄を録ってみたりアレンジやコーラスを入れてみたりと、習作を作って検討することです。これをやっておくとアレンジもヴォーカルもより完成度が上がり、より世界観への求心力が出ます。ヨルガではこの作業をかなり丁寧にやっています。

昨日は最後にもらった「和風変拍子」の曲をプリプロ。変拍子が嬉しくて、いそいそ詞をつけたらなんと1日で詞が書けてしまいました!みとせのりこ、作詞速度の遅さにかけては蝸牛の如しのはずなんですが、楽曲力なのか、たまにこういう奇蹟が降ってきます。楽曲も面白いし、作詞もいい感じになりましたので、これを踏まえての弘田さんのアレンジの進化と本収録が楽しみです。…そして勝手にコーラスもつけちゃおう、うひひ。

ジャケットがいっぱい

皆様コンバンハ、みとせです。

先日デザイナーさんから上がってきたジャケットのデザインラフを見せてもらいに行ったんですが、なんと10種類以上のラフがずら~~~っと机の上に並んでいて、弘田さんとふたりで吃驚。

なんたる贅沢。

普通のデザイナーさんだと「3種類のラフが出て一個捨て案が混ざってる」くらいのもんなんですが、デザイナーの前田さんにそういう法則は当て嵌まらずでした。前田さんはみとせのソロアルバム「ヨルオトヒョウホン」や、弘田さんの「シャドウハーツ」シリーズのアルバムジャケットも手がけ下さっている方なんですが、常に常識をぶっちぎってアグレッシブなものを出して下さるので、ご一緒させて頂くとこちらもアーティストとしての気持ちが引き締まります。

こんなにたくさんの中から選んだら意見がバラけそう、と思ったのですが、全くそんなこともなく、見事に弘田さんと意見が一致。さすが視えているものが一緒なんだなあと思って、「ヨルガ」というアルバムと世界観がきちんとした求心力を持っていることを実感したのでありました。

ジャケット画像をお届けできるのはもう少し先になりそうですが、どうぞ皆様楽しみに待っていて下さいませ。

*

そして弘田さんから収録曲最後の1曲が昨日届きました。

和風変拍子きたーーー!!と思って心が躍ったみとせでございました。

三つ児の魂百まで。

いそいそと作詞中です。すごくかっこいい曲なので、皆様どうぞお楽しみに。