【楽曲解説】02_珠ノ舟

最後から2曲目に上がってきた曲で、弘田さんの習性なのか所謂POPS展開の曲(A-B-C-2A-2B-2C-間奏-B-Cみたいなやつ)がそれまでなかったというのに、この曲でまさかのPOPS展開!こういう雰囲気の曲は短い歌詞で語らせることが多いのに、どこまでも天邪鬼なお方です。どうしたものかと思いながらもらった曲を聴いていたら、突然「数え歌にせよ」という神のお声が。その神託のままに歌詞はするすると紡ぎ上げられ、気づけばこんな業深い詞になっていました。水に流るる燈籠の夜の水面にきらめく様を、泉鏡花の描くような美しくも儚く、そして残酷な光景を思い浮かべつつ聴いて頂きたいです。(みとせ)

わずか2時間ほどで出来上がった曲。作曲家としては時間をかけて練り上げた作品の方が良いものと思いたいものですが、えてしてあっという間に出来た曲の方が、評判が良かったりします。ギターは最初からガット弦のイメージを持っていました。ガットギターやバイオリンなどの収録が終わった後に、エンディングの盛り上がりを編曲したので、レコーディング参加者は「こんな終わり方だったのか」と驚いているかもしれません。心の中に溜まっていた感情が解放され、気持ちが浄化されるようなカタルシスのある終わり方にしたいと思っていました。聴き終えた時に、幻想的な短編小説をひとつ読み終えたような感覚になってもらえますように。(弘田)

【楽曲解説】01_セカイは僕の睛の中の映画

帝都を毎日自分の足で駆け巡っている「ポストマンの少年」の視点で書いた詞です。弘田さんの楽曲が帝都の街や風景そのものを描いていたので、わたしはその上を駆け抜ける、風景を語るのに相応しい人物を描きました。唄声にもいつものみとせの声よりやや太めでソリッドな響きを持たせ、勝手につけちゃったコーラスには逆にキラキラした風や光の色を持たせています。硬質な革の靴底が石畳を叩く音、少年の木綿のシャツや髪をすり抜けていく瑞々しい風、そしてその睛に映る帝都の風景のきらめきと躍動を、この曲に感じて下さい。(みとせ)

都会の持つエネルギーと躍動感、雑多さ、多様性、華やかさと寂寥感。ヨルガのいわゆるワールドマップとなる「帝都」そのものを俯瞰して描いた楽曲です。ドラムは、よく一緒にセッションしているドラマーのフレーズをスタジオでサンプリングしたものと、TOONTRACKのSUPERIOR DRUMMER2.0とのハイブリッドです。パーカッションは、躍動的なアフリカのリズムパターンをインダストリアルなメタルパーカッションに置き換えて収録。壷井さんのフィドルとワタさんのギター、マンドリンも楽曲の大事なエレメンツになっています。この曲では私はフレットレスベースやピアノを弾いています。(弘田)